植樹方法

【 準備するもの 】
 スコップ、バケツ、手袋、ハサミ、堆肥(※1)
 添え木、シュロ縄、杉テープまたは幹巻きテープ


【 植樹方法 】
① 深さ30~40cm、幅40~50cmの穴を掘る

② 掘り出した土と「堆肥」を混ぜる
  大きい石は取り除く
  堆肥は10~30%混ぜる(完熟の堆肥または腐葉土)
(※1)堆肥等は必須ではなく、肥沃な土の場合は不要

③ 堆肥を混ぜた土を穴に少し戻す

④「添え木」を垂直に、苗木の根より深く打ち込む

⑤ 苗木の3分の2くらい上の位置に、
 「杉テープ」または「幹巻きテープ」を巻く
  苗木に傷が付かないよう保護の為に

⑥ 苗木を穴に入れて土を被せていく
  根の近くに堆肥が来るように
  10cmほど下がった状態で土を戻し、「水鉢」を作る

⑦ 苗木を優しく揺らしながら、水をたっぷり掛けて土を締め、
  水がはけ苗木が安定するまで真っ直ぐに手で固定しておく
  バクチャー等の土壌改良材は、このタイミングで使用

⑧ 添え木と苗木を「シュロ縄」で八の字に結ぶ(麻縄も可)
  植樹後、6~12ヶ月の間は添え木するのが理想
  苗木を締め付け過ぎないように、結ぶ紐は緩めに

⑨ 水やりは3ヶ月の間、1週間に1回たっぷり掛ける
  湿気た土の場合は水やり不要


【 その他の注意事項 】
苗木の葉が落ちている、11~2月末迄に植樹するのが理想
(1/5~2/3頃の厳寒期を除く・地域や国による)

植樹1本にあたり、8m四方を確保するのが理想
(間隔が狭いと育ちが悪くなり、病害虫も発生しやすい)

苗木は届いてから、ビニール等を外して涼しい所に置く

土の無い状態で苗木が届いた場合は一晩、水に漬けて休ませる。また、根に水苔が付いている場合は取り除く

根に直射日光が当たらないようにする

接ぎ木の部分にテープが巻かれている場合は取り外す

接ぎ木の部分が土に潜らないように植樹する(接いだ部分から根が出ている場合は、接ぎ木の部分も土中に入れる)

8月下旬ごろから急激に幹が太るため、幹へのシュロ縄の食い込みに注意する

苗木の状態により植樹方法は異なります
(土の有無/根鉢の種類)

植樹のポイント

【土の深さ】

【植樹に適した土】
植樹前に土を掘り起こし土質を確認する
(水はけの悪い土や粘土質はNG)

大きな石を取り除いた 「掘り起こした土」 と
「堆肥」 を混ぜ合わせる(土質によっては不要)

【粘土質の場合】
植え穴に水をやると「水が1時間以上引かない」「表土が常にジメジメして苔が生えている」このような土は「粘土質」です。粘土質の土や固い土のまま植樹すると、根が呼吸できずに腐って、木が弱り枯れてしまいます

<ポイント>
掘り穴を大きめ(直径2m・深さ70cm 以上を目安)に掘り、粘土質の土は廃棄します。 山土や真砂土、畑の土などに「バーク堆肥」を20~30%ほど混ぜ、埋め戻し用の土を作りましょう。

【バーク堆肥とは】
伐採した樹木の皮を堆積して、粉砕・発酵・熟成させた堆肥の事です。植物性堆肥に分類され、鶏ふんや牛ふん等の動物性堆肥よりも土壌改良効果が高いです。但し、大量に与え過ぎると「窒素飢餓」を引き起こすデメリットがあるため、配合量に注意です。


【シュロ縄とは】
シュロ縄は棕櫚(シュロ)という樹木の皮から作られた縄です。水に強く、雨風に晒されても耐えるため、支柱や垣根を固定するのに使われます。通気性も良く、自然素材のため環境にも優しいです。シュロ縄は水分を吸うことで縄がしなやかに強くなり、しっかりと固定できるため、使用前に水で濡らし、雨風に晒されても緩むことのないよう「男結び」で結ぶのがベストです。
 男結びを映像で確認する場合はこちらをクリック


【幹巻きテープとは】
木を保護する目的で使われる、黄麻(コウマ)という繊維作物を原料とした包帯です。カビや害虫の発生を防ぐ為に、定期的な交換がベストです。


【根鉢の種類を確認】

【添え木のイメージ】 

【斜面へ木を植える方法】
勾配のある斜面では、そのまま植えると水を蓄える場所がなくなります。下の写真のように木を垂直に根元周りの「水鉢」は水平になるようにします。

 下の画像は参考例です。実際には穴を深めに掘って植えた方が良いです

 桜は地中深くに主根を伸ばすタイプではなく表層に根を広げるため急傾斜地では強風や土砂の流動で倒木しやすくなります。10~20度程度の斜面は問題ないことが多いですが、急斜面の場合は特に、植える場所の下記対策が必要です

対策例
・植える場所を一段掘り込んで平らにする

・石や丸太などで土留めを作る

・根鉢周辺に腐葉土などを混ぜて保水性や保肥力を補う

・斜面は水が早く流れて乾燥しやすいため、必要に応じて植付け後1~2年はこまめな灌水をする

・桜は浅根なので強風に弱く、若木の段階では倒れやすいため、風当たりの強い場所を避ける、もしくは支柱を2本使う方法(※1)や、二脚鳥居支柱(※2)で固定し、2~3年は支柱を残す    

(※1)   (※2) 
植樹パターンと植樹場所

【集中型】
ボリューム感があり、見応えのある空間になります。短期間に花見客が集中する可能性があるため、その場合はトイレや駐車場など最大時の設備が必要になります。

【分散型】
開花時期の違う品種を植樹する方法や、植樹エリアを分散させる場合は、左下の写真のようにボリューム感が失われる可能性があります。右下の写真のようにまとめて植樹すると見栄えが良くなります。    

【成育に適した場所】
・日当りを好む
桜は日当りの良い場所を好みますので、よく日が当り、周りに障害がない場所が良いです。日陰の場所では育ちが悪くなります。

・肥沃な土地を好む
桜は水はけがよく適度に湿り気があり、肥沃な土地を好みます。水はけの悪い場所、土が固い場所、養分が少ない場所、真砂土の場所などは、植樹前に直径2m、深さ70cm 以上の穴を掘り、充分な土壌改良を必ず行います。

土壌の改良方法

【植え穴の大きさ】
土壌改良が必要な場所は、直径2m 深さ70cm 以上を掘る。

【植付け客土や堆肥の施用方法】
植え穴に良質な客土や完熟堆肥などを入れ、掘り出した土とよく混ぜて埋め戻す。土壌改良が必要とされる場所は必ず実施し、大きな植え穴の場合も下の図と同様の要領で行う。

① 植え穴を掘る

② 掘り出した土をA=6:B=4を目安に分ける

③ 掘り出したBと同量の堆肥と、肥料100~200g/㎡を目安に混ぜ合わせたCを、穴に埋め戻す

④ 埋め戻したCの上に、5cmほど埋まるぐらいのAを植え穴に戻す

⑤苗木を立て、掘り出したAを埋め戻す 

支柱について

【支柱を行う理由】
・成育を補助
支柱は、植えた苗木が強風などで倒れてしまったり、新しく伸びた根が切れないように、自分自身で支えられるようになるまで成育を補助するものです。

・樹形をつくる
シダレ性の品種や河津桜など枝が横に広がりやすい品種は、支柱を添えて芯となる枝を誘引すると、短期間で樹形を整えることが可能です(特別な事情がない限り陽光桜は不要)。

・管理上の目印
植付け時の位置を示したり、夏の草刈り時には支柱が目印となり、誤って苗木を傷つけてしまうことが避けられます。

【結束方法】
①の様に結ぶと支柱と擦れ合って苗木が痛むため、②の様に八の字にシュロ縄で結ぶ。 

【注意点】
桜は8月下旬ごろから急激に幹が太るため、紐の食い込みや緩みすぎがないよう確認する

紐が食い込んでしまった幹は、くびれてしまいます。その場合、台風などの強い風を受けると、くびれの位置から折れやすく、病害虫が侵入する可能性が高くなります

整枝と剪定

【剪定の必要性】
桜は枝の切口から腐りやすく、太い枝を切ると木が衰弱する原因となります。大木となってから枝を切らないよう植え付けてから5年目までの間に剪定を行います。

【剪定の基本】
・ひこばえや台芽
地際から伸びている枝は台木から出ている枝が多く、切らないと栄養がこの枝の方に集中します

・ふところ枝及びからみ枝
他の枝に絡むように伸び、風により擦れ傷ができたり、折れたりして腐朽しやすくなります

・胴ぶき枝及び地面から1.5m~2mまでの枝
木が成長しても枝の位置は変わらない為、通行の妨げになる1.5~2m以下の枝は早めに剪定する

・さかさ枝
異形な樹形になってしまう可能性があるため切り落とす

・枯れ枝など
景観上も良くなく、健全な枝の空間面積を狭くするため剪定する

 陽光桜は大きな選定は不要で、自然樹形で育てるのが基本になりますが、枯れ枝や混み合い枝の最小限の剪定は必要です。剪定時期は花が散った後から若葉が出揃う4~5月がベストです

【剪定方法】
・剪定バサミで切れる太さの枝のうちに切るようにします

・500円玉以上の太さの枝は以下の手順で切り、切り口には必ず傷口の保護剤を塗布する

 枝を途中で切ると、そこから腐朽菌が侵入して太枝や幹の腐朽が進み、樹勢に悪影響を与えるので注意する

除草と施肥

【除草】
雑草を放置すると日陰になったり、養水分を奪われたり、病害虫の住処となったりするため、成育が阻害される原因になります。苗木が小さい間は早目に対処する。

【除草時期や注意点など】
・除草は新芽の芽吹く時期から落葉期まで行います。また、若木の間(~3年目位まで)はしっかり行い、成木は軽めで大丈夫です

・機械で除草する場合は、苗木を誤って切らないように根元の草を手で取り除いてから、その周りを機械で刈るようにする

・刈った草を根元に敷くことを「マルチング」を言います。この効果は「乾燥防止」や「次の草の成育を抑制」することになり、除草の手間が省けます(パークチップも活用可)

【施肥】
陽光桜は肥料をたくさん必要とする樹木ではなく、土質が良い場合は施肥せず問題なく育ちます。肥料の与えすぎは樹形が乱れたり、病害虫が増える原因になる為、施肥する際は控えめにします。

鳥獣害対策と病害虫防除

【獣害】
・ノネズミ
根元に乾燥防止目的で多くの敷き藁を施用したりすると、冬期の住処・餌場を提供する事になり、桜の根まで食害を受ける事が多くなります。被害が多発する場合、殺鼠剤を撒きネズミの密度を下げるようにします。その上で予防したい場合は、市販されている忌避剤の適応薬剤を塗布、または散布すると効果的です

・ノウサギ
桜の苗木を植栽してから1~3年の間に被害が多く見られます。地際から全体を食べられたり、先端部を噛み摂られたりすることが多いので、激害となります。被害を受けてからでは手遅れとなることから、生息が予想される場所では予め予防対策をするのがベストです。少数の場合は、幹に新聞紙や藁などを巻きつけても予防できます。多数の場合は、忌避剤の適応薬剤を塗布又は散布すると効果的です

・鷽(ウソ)
ウソという野鳥による桜の花芽の食害で被害が甚だしい場合には、ウソがとまれない枝先を除く、ほぼ全ての花芽が食害され、花が咲かないため観賞性が著しく低下してしまいます。ウソは、夏季は亜高山帯に生息していますが積雪期になると低山帯に移動し、桜や梅などの花芽を食害します。移動してくる時期は地域や年によって変動がありますが、12月末から3月上旬ごろにかけてです。食害の発生は、ウソがついばんだ花芽の殻が木の下に散らばるので、それによって確認できます

 食害によって剥皮されたり、枝を切断された場合は、腐朽を防ぐ為にすぐ保護剤を塗布します

【病害虫防除】
・重要病害虫防除:コスカシバ、サクラ類てんぐ巣病

・害虫防除:オビカレハ(5月)アブラムシ(5月)アメリカシロヒトリ(7月他)モンクロシャチホコ(8月下旬)カイガラムシ

・病害防除:こうやく病、幼果菌核病、根頭癌腫病

 上記のような病害虫や、病害による被害が出ないよう防除対策をします

健康診断

植栽後6年以上が経過した桜は1年に1度、夏期に健康診断をして、樹勢に悪影響を与える点がみらたら早めに対処します。下記のチェックポイントを参考に、桜の健康診断をします。

【植栽間隔の再確認】
過密な成育環境にならないよう、広めに植えてあれば問題ありませんが、間隔が狭いときには早めに、間引きや移植を実施します。

【個々の健康状態を見る】
以下の状態の木は、樹勢が衰退しています。衰退の原因には水はけが悪いための根腐れや、土中の栄養不足、病害虫の被害が考えられますので、専門家に相談し適切な対策を施します。

木の根元から見上げて見て、
空が透けるほど葉が少ない
花のボリュームが少く感じる
先端部にだけまとまって開花する
9月上旬ごろ周辺の桜は葉が
残っているのに、早期落葉する
自然降雨があるにも関わらず、
葉が丸まっている
木の上部の枝の枯れが目立つ
根際の主幹部より胴ぶき枝が
多数見られる